Glossary
GoogleとWhole Earth Catalog(ホール・アース・カタログ)は、共に情報へのアクセスと人々の自己実現を支援するという点で共通していますが、いくつかの重要な相違点と類似点があります。
類似点
- 情報へのアクセスの促進:
- Whole Earth Catalogは、当時入手しにくかった情報やツールの紹介を通じて、自己持続的な生活やオルタナティブなライフスタイルを支援していました。同様に、Googleはインターネット上の膨大な情報にアクセスするためのゲートウェイとなり、誰もが必要な知識やリソースを簡単に見つけられるようにしています。
- 自由と自己実現:
- Whole Earth Catalogは「道具を使うことで変わることができる」という理念を掲げており、ユーザーに知識やツールを提供することで、より自由で持続可能な生き方をサポートしていました。Googleもまた、「世界中の情報を整理し、誰もがアクセスできて役立つものにする」という使命のもと、情報への自由なアクセスを通じて個人の学びや創造性を促進しています。
- ユーザー主体の情報選択:
- Whole Earth Catalogは、ユーザーが自分のニーズに合わせて道具やアイデアを選ぶためのリソースを提供していました。Googleの検索エンジンも、ユーザーがキーワードを入力して自分の目的に合った情報を見つけることを可能にしています。
相違点
- キュレーション vs. アルゴリズム:
- Whole Earth Catalogのコンテンツは、編集者やユーザーが厳選したもので、カタログには信頼性の高い情報や実際に使えるツールだけが掲載されていました。対して、Googleの検索結果はアルゴリズムに基づいており、膨大な情報の中からユーザーに最適とされるものを提示します。情報の信頼性や関連性については、ユーザー自身が判断しなければならない場面も多いです。
- コミュニティ感:
- Whole Earth Catalogは、コミュニティ感やオルタナティブなライフスタイルの共有を重視し、カウンターカルチャーに深く根ざしていました。情報を選び、共有する過程そのものがコミュニティを形成していました。一方で、Googleは個人の情報探索を効率化しますが、情報を共有するためのコミュニティ感は強くありません。Googleが提供するのはあくまでツールであり、そのツールをどう使うかは各ユーザー次第です。
- 商業性と広告:
- Whole Earth Catalogは利益を目的としない情報共有の場であり、カタログ自体の中立性が保たれていました。対して、Googleのビジネスモデルは広告収入に基づいており、検索結果には広告が表示され、情報へのアクセスに商業的な側面が含まれています。
総合的な見解
Googleを現代のWhole Earth Catalogと見ることは可能です。ただし、Whole Earth Catalogが特定のライフスタイルを提唱し、コミュニティ形成を目指していたのに対し、Googleは広く中立的な情報アクセスを提供し、個々のニーズに応じて使われるプラットフォームです。そのため、GoogleはWhole Earth Catalogのように「情報への自由なアクセス」を促進しているものの、キュレーションされた価値観やコミュニティ感のある情報源としての役割は異なると言えます。
Whole Earth Catalogは情報を厳選して提示し、特定の生き方や価値観を支援するものでしたが、Googleはあらゆる情報にアクセスできる「道具」であり、使う人によってその意義が変わる点が異なると言えるでしょう。
ZINE
インフラにすでになってしまった、グーグル。しかし生成AIの登場で少し雲行きが怪しく、最近は検索結果の前にAIによる要約を表示するようになってきました。わたしたちは、世界へアクセスする窓口として、Whole Earth CatalogにかわるものとしてGoogleになにを期待すればいいのでしょう?